第二十二話 「ノウハウ注ぎ他社に挑む」
鹿児島1号店は出水市役所正面に平成3(1991)年にオープンしました。隣接の水俣店に出水から来店されるお客さまが既に2千人いて、さらに訪問営業もして良好な感触を得ていました。
鹿児島県には九州でナンバーワンとの評判が高い鹿児島市の老舗が鹿児島、宮崎両県で店舗展開されていて、鹿児島県への出店を躊躇[ちゅうちょ]していました。
しかし、出水市5万人商圏に2千人のお客さま。市役所前に土地を買い求め店舗をつくりました。店の場所を説明するのに市役所前は誰にでもすぐ分かります。目印になり、地図も不要。効果てきめん、上々のスタートでした。
店が繁盛しているとの情報が広がり、競合店が出水市の小さな町に次々と出店してきました。
こちらは出水店の好成績に気をよくし、鹿児島市の新興住宅地の谷山に店を出しました。すぐ近くに全国チェーン店が2店舗、地元の老舗が2店舗と競合状況にありましたが、あえてその一角に店を構えたのです。
ノウハウを全て注ぐ形で他社に挑みました。結果は良好。マスコミを使った広告宣伝の費用対効果も高く、お客さまの評判も上々でした。
次も鹿児島市の新興住宅地の一角、競合店のない新しいバイパス道路沿いに中山店を出しました。お客さまの反応を確かめてさらに鹿児島南部の指宿市に出店しました。
立地環境がそれぞれ異なるこの4店舗の成功に確信を得て、鹿児島市外の小商圏の市や町に、小商圏戦略と外商活動を絡めた営業活動で20店舗を一挙に展開しました。最後に中心市街地の一等地に天文館鹿児島本店を開店。宣伝効果がさらに良くなりました。
熊本、福岡、佐賀、宮崎、大分。それぞれの失敗を含めた経験を十分に生かし、郡部の競合のない小さな町に大きな店舗をつくり、小さな商圏で高いシェアを維持しながら、一店舗の点から、店と店をつなぐ線へ、さらなる出店で面の展開、その隙間を営業訪問販売でカバーしました。
小さく、狭く、濃く、深く市場を分析しながら地域密着を図り、お客さまへのアフターケアーを充実させてきました。
鹿児島はわが社の業績を左右する重要な戦略市場と位置づけています。