第三十八話 教育医療専門学校に刷新
県内では唯一の視能訓練士学科がある西日本教育医療専門学校=熊本市東区健軍
平成20(2008)年秋、熊本市の味噌天神近くの熊本保育ビジネス専門学校(前熊本経理専門学校)から協力してほしいと依頼がありました。
お聞きすると、校舎が差し押さえられて教室がなくなるとのこと。銀行に相談しましたが、手遅れでした。
学生の定員割れが続き、経営不振に陥ったことが原因でした。しかし、歴史もあり多くの卒業生を輩出しており、何とか継続したいとの要望でした。在校生も60人近く残っており、教室の確保が急務でした。
熊本市健軍の市電終点近くに自社ビルがあり、当時の校長、事務長に見ていただきました。
広さは十分でしたが、認可を受けるには大幅な改造が必要でした。費用を捻出しなければなりませんが、銀行はどこも同校には融資してくれません。結局、自社で負担することになりました。
教室や設備を整えて一応学校らしくなりました。一年間は以前の組織形態を維持しながら運営しましたが、前経理専門学校時代からの課題が浮き彫りになってきました。再建は信頼からと一大改革を進めました。
金融機関からの融資の受け皿として、同校を、幼稚園を運営していた学校法人清水学園と合流させました。その上で私は理事長を降りて、新理事長に道越温さん(元熊本県教育長)、校長に中山秀利さん(元県立天草工業高校長)に就いていただきました。体制一新です。
次に校名の変更です。23年度から「西日本教育医療専門学校」と変え、学科内容も充実させました。
教育部門は近畿大学豊岡短期大学と連携し、幼稚園教諭と保育士、および社会福祉主事任用資格などが同時に取得可能な3年課程の「こども未来学科」に夜間部も設けました。
医療部門では南九州では初となる3年課程の視能訓練士学科を新設しました。このほか一年で資格が取得できる医療事務管理士学科があります。
視能訓練士学科の新設にあたり、九州各県の多くの眼科医の先生方のアドバイスをいただきました。今年、最初の卒業生19人に対し、求人数は100件。好条件で就職していきましたが、今年も入学者は19人。定員の半分にとどまり、残念です。