第四十三話 「目標設定で逆境に挑戦」
「冬来たりなば春遠からじ」、私の好きな言葉である。イギリスの詩人シェリーの「西風に寄せる歌」の一節ですが、ものみな枯れる冬は新しい命の芽ぶく春がもうすぐやってくる。辛いこと苦しいことに負けず、お互い夢を語り合おう、と自分を励ます言葉として、また驕ることなく自分を戒める言葉としている。豊な時代に辛抱するとか、我慢するとか時代錯誤と思われがちだが21世紀に是非、必要な心構えだと信じている。真の達成感とか、大きな満足感は、辛いことのあとにやってくる、逆境に負けじと頑張っていると、小さな順境にも気付くし感謝する心が生まれる。夢を実現するためには、いろいろな障壁があるが、諦めることなく人に夢を語り続けることにより同志となる。同志と共に夢を文章にしてイメージを絵にする。夢に数字を入れる、よって練り上げられた同志の考えが結晶化され、目標設定へと導かれていく。価値ある目標があれば壁に挑む力が湧いてくる。たとえ逆境であっても、目標に一歩一歩近づいていることが自覚できれば、辛いと思っていた現実を喜んで迎えることができる。苦しいことも目標達成への歩みであることを理解できる。悲しいことも自らを強くし、目標意識の昂揚へとつないでいく。目標を目指している人にとって働くことは喜びであり、仕事は重荷ではなく、天の恵みであることに気付かされる。本当にありがたいことである。例えば富士山の頂上を目指すという目標を設定したとしよう。人は日本一の富士山を頭に描くことができる。富士の裾野に行けば頂上は見えない。遠くにいてはじめて美しい富士山を見ることができる。いざ登り始めて山裾に行けば、いばらの道であり、岩、川に遮られいくつもの難関が待ち受けている。しかし、美しい富士山を頭に描くことのできる人は、目の前の難関を突破することが、頂上に一歩近づくということを自覚でき、やり甲斐となる。目標のない人にとっては難関を避け楽な道を選ぶ。我が社も創業以来、何度も壁にぶち当たり挫折しそうになったが、心構えを新たに目標を設定し逆境に挑戦してきた。